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火山(状況に関する解説)
2024/02/20 18:01:19
火山の状況に関する解説情報をお知らせします。

発表日時:2024年02月20日18時00分
状況と火山名:【レベル2(火口周辺規制)】浅間山
【レベル1(活火山であることに留意)】富士山

本日、第153回火山噴火予知連絡会において、前回(第152回、令和5年7月12日)以降の全国の火山活動について以下のとおり評価をとりまとめました。
また、参考として気象庁が発表している噴火警報・予報(噴火警戒レベル)についても併せてお知らせします。

桜島
南岳山頂火口では10月中旬から下旬にかけて爆発が増加する等、一時的に噴火活動が活発となりました。また、昭和火口では、2023年2月上旬から噴火活動が時々みられています。
火山ガス(二酸化硫黄)の1日あたりの放出量は、概ね多い状態で推移しています。
桜島島内の傾斜計、伸縮計及びGNSS連続観測では、2023年4月以降特段の変化は観測されていません。
7月下旬には桜島の南西側を震源とするA型地震が増加し、最大震度2を観測する地震も1回発生しましたが、8月以降は減少傾向となりました。
GNSS連続観測では、姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)を挟む基線において、長期にわたり姶良カルデラの地下深部の膨張を示す緩やかな伸びがみられています。
姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部ではマグマが長期にわたり蓄積した状態と考えられ、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は概ね多い状態で経過していることから、火山活動は活発な状態と考えられ、今後噴火活動が再び活発化する可能性があると考えられます。
【参考】火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)発表中

口永良部島
口永良部島では、6月以降、火山性地震が次第に増加し、7月に入ってさらに増加しました。その後も増減を繰り返しながら多い状態で経過しています。火山性地震は主に古岳付近で発生していますが、新岳付近での発生も認められます。新岳西側山麓を震源とする火山性地震は発生していません。
8月に実施した上空からの観測では、古岳火口内で新たな噴気地帯が形成され、地熱域が拡大しているのを確認しました。10月以降の観測では噴煙量が減少しているのを確認しました。新岳周辺の地熱域には特段の変化は認められませんでした。
干渉SARによる地殻変動観測では、5月頃から8月頃にかけて古岳付近の数百mの範囲で衛星に近づく変動が観測されました。GNSS連続観測では、6月頃から10月頃にかけて古岳付近の膨張を示唆する変動が観測されました。なお、口永良部島のやや深部に多量のマグマが供給されたことを示唆する地殻変動は認められていません。
火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は少ない状態で経過していましたが、7月には1日あたり100トンと増加し、8月から9月にかけて200から400トンとさらに増加しました。その後、次第に減少していますが、数十トンから200トン程度の状態で経過しています。
口永良部島では、火山性地震の増加、山体膨張を示す地殻変動が観測されるなど、火山活動が高まっており、新岳及び古岳火口周辺において噴火が発生する可能性があります。
【参考】火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)発表中

浅間山
2023年3月中旬以降、浅間山の西側での膨張を示すと考えられるわずかな傾斜変動が観測され始め、GNSS観測でも西山麓の基線で伸びが認められました。3月下旬以降、山体浅部を震源とする火山性地震が増加し、火山ガス(二酸化硫黄)の1日あたりの放出量も、それまで200トン以下であったものが、3月下旬以降は400から2500トンに増加しました。
そのようななか、6月18日頃から西側での膨張を示すと考えられる傾斜変化がやや加速し23日に一時的にBH型地震が増加した直後に傾斜変化が元に戻るという現象があり、翌24日から二酸化硫黄放出量が増加し、29日未明には、高感度の監視カメラで山頂火口の微弱な火映を観測しました。また、7月3日から5日にかけても6月と同様の傾斜変化がやや加速し、5日には火山性地震の日回数が161回に達するなど多くなりました。その直後の6日の観測で二酸化硫黄放出量が1日あたり200トンと顕著に減少しました。
その後、火山性地震は、7月下旬以降、概ね少ない状態で経過し、山体の西側での膨張を示すと考えられる地殻変動は11月頃より停滞しました。一方、二酸化硫黄放出量は、1日あたり500トン前後で推移し、2023年3月下旬以前に比べて多い状態が続いています。
以上のように、浅間山の火山活動は高まった状態が続いており、小噴火が発生する可能性があります。
【参考】火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)発表中

硫黄島
期間中翁浜沖で断続的に噴火が発生しました。
6月15日から24日にかけて、翁浜沖で水柱が数分から十数分間隔で、海面から数mの高さまで噴出している様子が確認されました。また、噴火地点付近で、変色水や軽石と思われる浮遊物が確認されました。上空からの観測でも変色水が確認されました。
10月21日からも噴火が再開し、黒色の噴出物を含んだ水柱が1分未満から数分間隔で、海面から数十mから百m程度の高さまで噴出している様子が確認されました。また、噴火地点付近で、変色水や軽石と思われる浮遊物が確認されました。30日の上空から行った観測で噴火地点のすぐ北側に主に岩塊で構成される直径100m程度の陸地が形成されていることが確認されました。陸域観測技術衛星だいち2号による観測でも、陸地の形成が確認されました。水柱や噴煙の噴出間隔が次第に短くなり、11月3日には数秒間隔の噴出が観測されるようになりました。4日からは身体に感じる程度の爆発音、空振を伴う噴火が続きました。噴火は、12月にかけて断続的に観測され、12月11日以降一旦停止しましたが、31日から再開し、2024年1月6日まで続きました。夜間に赤熱した火山弾の噴出もしばしば視認されました。
漂着した火山弾や軽石の分析結果から、2022年の噴火と類似した粗面岩質マグマが噴出したものとみられます。
噴火地点付近に出現した新たな陸地の大きさは、11月23日の海上保安庁による観測では、南北約450m、東西約200mまでになりましたが、その後の観測では、波浪による侵食によって面積は小さくなっているのが確認されています。
また、11月18日に島北東部で白色噴煙が認められ、19日には過去に土砂噴出や噴湯が発生した島北東部の海岸に直径30mの火口が存在し、その周囲に灰色で粘土が含まれる砂礫質の火山灰の分布が認められました。また、直径10cm程度の噴出した岩塊が火口から90mから120m程度の範囲に分布していることも確認されました。
翁浜沖での噴火に伴い、単色型微動が断続的に観測されましたが、その他の火山性地震や微動はやや少ない状況で経過しました。
GNSS連続観測により長期的に認められている島全体の隆起を示す地殻変動は、継続しています。干渉SAR解析では、元山付近に収縮とみられる変動が、摺鉢山付近に周囲と比べて衛星から遠ざかる変動がみられます。また、阿蘇台断層に沿って変動がみられます。
2022年以来、硫黄島ではマグマの噴出がみられるようになっています。また、長期的に島全体の隆起を示す地殻変動がみられ、多くの噴気地帯や噴気孔があり、各所で小規模な噴火が時々発生していることから、従来から小規模な噴火がみられていた領域も含め、今後も噴火が発生する可能性があります。
【参考】火口周辺警報(火口周辺危険)発表中

阿蘇山
阿蘇山では、12月頃から火山活動に高まりが認められています。
GNSS連続観測では、12月頃から深部にマグマだまりがあると考えられている草千里を挟む基線及び広域の基線において伸びの傾向が認められています。マグマだまりへのマグマの蓄積が進行しているものと考えられます。また伸縮計・傾斜計では12月中旬頃から山体浅部の膨張を示唆する変動が観測されています。
全磁力観測では、中岳第一火口地下の温度上昇を示唆する変化が観測されています。
火山ガス(二酸化硫黄)の1日あたりの放出量は、11月までは200トン以下の状態で経過していましたが、12月に500トンとやや増加し、1月以降は1,000から2,000トンとさらに増加しています。
現地調査では、中岳第一火口の湯だまりは8月頃までは火口底の約6割でしたが、次第に減少し、12月には約2割まで減少していることを確認しました。南側火口壁の地熱域では12月から温度が上昇し、1月には585度を観測しました。また、地熱域で赤熱を確認しました。
1月19日以降、夜間に監視カメラで火映を観測しています。
火山性微動の振幅は6月下旬からやや増大していますが、小さな状態で経過しています。
火山性微動の振幅は小さな状態ですが、地殻変動や火山ガス(二酸化硫黄)放出量の増加等、火山活動の活発化を示唆するデータが得られていることから、中岳第一火口の周辺に影響を及ぼす噴火が発生する可能性があります。
【参考】火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)発表中

薩摩硫黄島
薩摩硫黄島では、11月下旬から火山性地震が増加し、やや多い状態となっています。また、8月以降、振幅が小さく継続時間の短い火山性微動を時々観測しています。
火山ガス(二酸化硫黄)放出量は1日あたり1,000トン前後の状態が継続しており、時折噴煙が高くなるほか、夜間に火映を観測しています。
長期的には熱活動が高まった状態が続いていることから、硫黄岳火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生する可能性があります。
なお、GNSS連続観測では、薩摩硫黄島の東側海域を中心とした膨張性と思われる中長期的な地殻変動がみられています。
【参考】火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)発表中

諏訪之瀬島
御岳(おたけ)火口では、噴火活動が継続しています。
6月中旬に爆発が増加し、一時的に噴火活動が活発化しました。
GNSS連続観測では、島の西側の深部におけるマグマの蓄積量の増加と推定される変動は認められません。傾斜計では、島の西側のやや深部へのマグマの蓄積と御岳火口直下へのマグマの上昇を示唆する変動は観測されていません。
島の西側で発生していると推定される火山性地震は少ない状態です。
諏訪之瀬島では、噴火活動が継続していることから、火口中心から概ね1kmの範囲に大きな噴石が達する可能性があります。
【参考】火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)発表中

雌阿寒岳
2023年12月8日から9日にかけてポンマチネシリ火口付近を震源とする振幅の小さな地震が一時的に増加し、その後も12月下旬にかけてやや多い状態が続きました。同領域では、6月29日から30日にかけても地震が一時的に増加するなど、短期的な地震活動の活発化が時々認められますが、その他の観測データには特段の変化は認められず、火山活動は概ね静穏に経過しており、火口周辺に影響を及ぼす噴火の兆候は認められません。
【参考】噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)発表中

十勝岳
62ー2火口、振子沢噴気孔群及びその周辺では引き続き噴煙・噴気が多い状態で、熱活動が活発な状態が続いています。今後の火山活動の推移には注意が必要です。
なお、GNSS連続観測で2021年以降続いていた山体浅部の収縮を示すと考えられる地殻変動は、2023年夏頃以降、概ね停滞していますが、62ー2火口のごく近傍の一部観測点では、地表面付近の局所的と考えられる変動が引き続き認められています。
【参考】噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)発表中

北海道駒ヶ岳
2023年12月以降、山頂火口原付近の海抜下1km付近を震源とする振幅の小さな低周波地震が発生しており、12月7日にはややまとまって発生しました。その後も1日当たり1回程度で発生が継続しています。
GNSS連続観測では、2022年頃から山頂火口原浅部(海抜下0から2km程度の領域)の膨張を示唆するわずかな地殻変動が観測されています。また、山頂に設置した監視カメラによる観測で、昭和4年火口で噴気が観測される頻度に2021年頃からわずかな増加傾向が認められています。
火山活動にやや活発化する傾向が認められており、今後の火山活動の推移には注意が必要です。
【参考】噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)発表中

吾妻山
大穴火口付近では火山性地震の発生頻度は低下し、低周波地震の発生頻度も低下しています。吾妻山深部の膨張は7月頃から停滞しており、9月下旬以降、大穴火口浅部の膨張は収縮に転じました。大穴火口周辺では、熱水活動がやや低下した可能性があるものの、全磁力連続観測では大穴火口周辺浅部の温度上昇を示唆する変化は鈍化しつつも継続していることなどから、今後の火山活動の推移に留意が必要です。
【参考】噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)発表中

霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺)
GNSS連続観測では、2023年5月頃から硫黄山近傍の基線において硫黄山付近の膨張を示すわずかな伸びが認められていましたが、11月頃から停滞しています。
硫黄山付近では、火山性地震は少ない状態で経過しています。7月7日に継続時間の短い火山性微動が発生しましたが、その後は観測されていません。
硫黄山火口内の噴気地帯では活発な噴気活動が続いていますが、更なる高まりは認められません。2022年11月以降、同噴気地帯の一部の噴気孔においてごく小規模な噴出現象や熱水の噴気孔外への流出が時折観測されています。硫黄山の西側500m付近では弱い噴気活動がみられています。
以上のことから、現時点では噴火の兆候は認められませんが、現在活発な噴気活動がみられている硫黄山火口内、及び硫黄山の西側500mの噴気地帯から概ね100mの範囲では、熱水・熱泥等が飛散する可能性があります。
【参考】噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)発表中




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