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火山(状況に関する解説)
2023/07/12 14:02:20
火山の状況に関する解説情報をお知らせします。

発表日時:2023年07月12日14時00分
状況と火山名:【レベル2(火口周辺規制)】浅間山
【レベル1(活火山であることに留意)】富士山

本日、第152回火山噴火予知連絡会において、前回(第151回、令和4年12月6日)以降の全国の火山活動について以下のとおり評価をとりまとめました。
また、参考として気象庁が発表している噴火警報・予報(噴火警戒レベル)についても併せてお知らせします。

桜島
南岳山頂火口では噴火活動が継続していますが、2023年4月頃から低下傾向が認められます。また、昭和火口では、2023年2月上旬から噴火活動が時々みられています。
火山ガス(二酸化硫黄)の1日あたりの放出量は、概ね多い状態で推移しています。
桜島島内の傾斜計、伸縮計及びGNSS連続観測では、2023年1月から3月頃にかけて山体の隆起・膨張を示す緩やかな地盤変動が観測されましたが、その後特段の変化は観測されていません。
GNSS連続観測では、姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)を挟む基線において、長期にわたり姶良カルデラの地下深部の膨張を示す緩やかな伸びがみられています。
姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部ではマグマが長期にわたり蓄積した状態と考えられ、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は概ね多い状態で経過していることから、今後南岳山頂火口や昭和火口において噴火活動が再び活発化する可能性があると考えられます。
【参考】火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)発表中

口永良部島
口永良部島では、6月以降、火山性地震が次第に増加し、6月中旬頃から多い状態となりました。7月9日以降の日発生回数は150回を超え、地震活動が活発となっています。火山性地震は主に古岳付近の浅いところで発生していますが、新岳付近での発生も認められます。
6月7日に実施した現地調査で、古岳火口内の噴気温度がやや上昇しているのを確認しました。古岳火口内及び周辺の地熱域の分布に大きな変化はみられませんでした。新岳周辺の地熱域には特段の変化は認められませんでした。
干渉SARによる地殻変動観測では、古岳火口付近でわずかな膨張性の変動が観測されています。GNSS連続観測では、2021年5月以降、特段の変化は認められません。
火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は1日あたり概ね40トン以下と少ない状態で、検出限界を下回ることもあります。
口永良部島では、火山性地震が増加するなど、火山活動が高まっており、新岳及び古岳火口周辺において噴火が発生する可能性があります。
【参考】火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)発表中

西之島
気象衛星ひまわりの観測で、4月11日に噴火が確認されました。噴煙の高さは最高火口縁上1,900mでした。気象衛星ひまわりの観測で噴火を確認したのは2022年10月以来です。上空からの観測では、1月25日に火口縁上900mまで噴煙を上げる噴火が確認されました。だいち2号の観測によると、これらの時期以外にも噴火があった可能性があります。
2022年3月中旬以降、西之島付近で周辺に比べて輝度温度が高い傾向が認められるものの、2019年12月から2020年8月の期間に見られたような溶岩流出に伴う高い輝度温度と比較すると、その温度は低い状態にあります。
今期間の上空からの観測では、山頂火口からの噴気活動が継続し、山頂火口内や火砕丘には高温領域が確認されていますが、溶岩の流出は認められていません。また、沿岸海域には変色水が確認されています。
衛星データの解析によると、断続的に二酸化硫黄の放出が確認されています。西之島から50kmを超えて広がる変色水が、2022年8月以降に観測され、現在も継続中です。
以上のように、西之島は比較的活発な火山活動が続いています。これまでの活動経緯を考慮すると、今後、火山活動がより活発化する可能性もあります。
【参考】火口周辺警報(入山危険)発表中

浅間山
3月中旬以降、浅間山の西側での膨張を示すと考えられるわずかな傾斜変動が観測され始め、GNSS観測でも西山麓の基線で伸びが認められています。また、3月下旬以降、山体浅部を震源とする火山性地震が増加し、火山性微動も多くなっています。火山ガス(二酸化硫黄)の1日あたりの放出量も、それまで200トン以下であったものが、3月下旬以降は400から2,500トンに増加しています。
6月18日頃から西上がりの傾斜計の動きがやや加速し23日に一時的にBH型地震が増加した直後に傾斜変化が元に戻るという現象があり、翌24日から二酸化硫黄の放出量が増加しました。
6月6日に実施した上空からの観測では、前回の観測(2022年11月)と比べ、火口底中央部の火孔付近で温度の高まりが認められ、また西側領域に加えて北東領域でも温度の高い箇所が認められました。高感度カメラによる観測では、6月29日から微弱な火映が確認されています。
以上のように、浅間山の火山活動は高まった状態が続いており、小噴火が発生する可能性があります。
【参考】火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)発表中

ベヨネース列岩
1月26日、2月17日に明神礁付近で変色水が確認されました。5月の観測では変色水等は確認されませんでしたが、引き続き海底噴火が発生する可能性があります。
【参考】噴火警報(周辺海域)(周辺海域警戒)発表中

海徳海山
2022年8月から変色水等が確認されていましたが、5月の上空からの観測では認められませんでした。衛星からの観測でも、2月11日を最後に変色水は認められなくなりました。
海徳海山では、1984年3月から6月にかけて、軽石の浮遊がみられるなどマグマが直接関与した可能性がある噴火が発生しました。また、変色水が数ヶ月にわたり観測されました。今期間認められた変色水も、火山活動の活発化を示していると考えられます。今後、噴火が発生する可能性がありますので、火山活動の推移に注意が必要です。
【参考】噴火警報(周辺海域)(周辺海域警戒)発表中

硫黄島
2022年7月から8月にかけてと10月前半に小規模な噴火が発生し、新鮮なマグマを噴出した翁浜沖では、時折噴火が発生しています。
これまでの観測によって、翁浜沖の海底噴火に伴い周期約1秒の単色型微動が観測されることが明らかになっています。2022年12月6日から11日にかけても単色型微動が増加し、翁浜沖で12月7日から11日にかけて噴火が観測されました。9日には噴火に伴うと思われる軽石が浮遊している様子が確認されました。また、2023年6月15日から25日にも単色型微動が増加し、翁浜沖で断続的な噴火が観測され、軽石とみられる浮遊物も確認されました。
噴火の発生に伴い地震活動や地殻変動の傾向に大きな変化は認められません。GNSS連続観測により長期的に認められている島全体の隆起を示す地殻変動は、継続しています。干渉SAR解析では、元山付近に収縮とみられる変動が、摺鉢山付近に周囲と比べて衛星から遠ざかる変動がみられます。また、阿蘇台断層に沿って変動がみられます。
硫黄島では、地殻変動が長期的に継続しており、地震活動、噴気の状態もやや活発な状態が続いています。このような中でマグマの噴出が観測されていることから火山活動がさらに高まる可能性もありますので、今後の火山活動の推移に注意が必要です。
【参考】火口周辺警報(火口周辺危険)発表中

福徳岡ノ場
2021年8月13日から15日にかけて大規模な海底噴火が発生した福徳岡ノ場では、2021年8月下旬以降、噴火は認められないものの、引き続き、変色水域が確認されています。福徳岡ノ場の過去の活動履歴を考慮すると、2021年8月に発生した規模の噴火が、短期的に再び発生する可能性は低いと考えられます。しかしながら、火口直上の変色水域が確認されるなど、活発な火山活動が継続しており、今後も噴火の可能性があります。
【参考】噴火警報(周辺海域)(周辺海域警戒)発表中

霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺)
GNSS連続観測では、2022年11月頃から12月頃と、2023年5月頃から硫黄山近傍の基線において硫黄山付近の膨張を示すわずかな伸びが認められています。
硫黄山付近では、7月7日に火山性微動が発生しました。また、火山性地震のわずかな増加が時折みられており、2023年5月にはやや多い状態となりました。二酸化硫黄等の火山ガス濃度の上昇もみられています。
硫黄山南側の噴気地帯では活発な噴気活動が続いており、2022年11月以降、ごく小規模な噴出現象や熱水の噴気孔外への流出が時折観測されました。硫黄山の西側500m付近では弱い噴気活動がみられています。
以上のことから、火山活動が高まった状態となっており、硫黄山火口から概ね1kmの範囲に影響を及ぼす程度の噴火が発生する可能性があります。
【参考】火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)発表中

薩摩硫黄島
火山性地震や火山性微動の発生状況に特段の変化はありません。火山ガス(二酸化硫黄)放出量は1日あたり1,000トン前後の状態が継続しており、時折噴煙が高くなるほか、夜間に火映を観測しています。長期的には熱活動が高まった状態が続いていることから、硫黄岳火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生する可能性があります。
なお、GNSS連続観測では、薩摩硫黄島の東側海域を中心とした膨張性と思われる中長期的な地殻変動がみられています。
【参考】火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)発表中

諏訪之瀬島
御岳(おたけ)火口では、1月下旬から3月中旬及び6月中旬に爆発が増加するなど、一時的に噴火活動が活発化しました。
2022年6月頃から11月頃にかけて島の西側の深部におけるマグマの蓄積を示唆する地震の増加や地殻変動が認められましたが、それ以降、特段の変化は認められません。2019年12月頃から2020年3月頃にも同様の変動が観測され、その後、長期的に噴火活動が活発化しましたが、この地殻変動は前回よりも規模が小さいものでした。
傾斜変動観測では1月下旬から3月下旬及び5月中旬から6月中旬頃にかけて西上がりから西下がりの変動が観測されました。この変化は、島西側のやや深部へのマグマの蓄積と御岳火口直下へのマグマの上昇を示唆していると考えられます。
諏訪之瀬島では、噴火活動が継続していることから、火口中心から概ね1kmの範囲に大きな噴石が達する可能性があります。
【参考】火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)発表中

雌阿寒岳
6月29日から30日にかけてポンマチネシリ火口付近を震源とする振幅の小さな地震が一時的に増加しました。現時点でその他の観測データに火山活動の高まりを示唆する変化は認められませんが、今後の火山活動の推移に留意が必要です。
【参考】噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)発表中

十勝岳
GNSS連続観測では、2021年頃から山体浅部の収縮を示すと考えられる地殻変動が続いており、62ー2火口、振子沢噴気孔群及びその周辺では引き続き噴煙・噴気が多い状態です。また、62ー2火口ではごく微弱な発光現象が時々観測されており、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量も多い状態です。2023年2月以降、火口浅部の地震の一時増加や火山性微動、これらと同期した傾斜変動が時々観測されています。これらのことから、今後の火山活動の推移には注意が必要です。
【参考】噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)発表中

八甲田山
 火山活動に特段の変化はなく、静穏に経過しており、噴火の兆候は認められません。
【参考】噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)発表中

吾妻山
大穴火口付近では2022年11月頃から火山性地震が多い状態で推移し、2023年2月頃からは低周波地震の発生頻度も高まっています。また概ね2023年3月以降、大穴火口浅部の膨張と、吾妻山深部膨張の可能性を示すわずかな変化が共にみられています。大穴火口周辺浅部の温度上昇を示唆する変化も継続していることなどから、今後の火山活動の推移に留意が必要です。
【参考】噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)発表中

磐梯山
2022年11月から火山性地震がやや多い状態で経過し、11月18日には低周波地震が1回観測され、12月末には活発な地震活動がみられました。その後火山性地震は一時的な増加がみられるなど多い状態で経過し、火山性微動の発生もみられています。GNSS連続観測では、2022年後半から火山活動によるわずかな膨張性の変動が認められています。これらのことから、今後の活動の推移に留意が必要です。
【参考】噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)発表中

阿蘇山
阿蘇山では、2022年12月中旬頃から火山性微動の振幅がやや大きくなり、2023年2月には大きな状態となるなど、火山性微動の振幅に大きな変動が認められましたが、3月以降は小さな状態となりました。
火山ガス(二酸化硫黄)の1日あたりの放出量は2022年12月頃から2023年1月頃までやや多い状態となりましたが、次第に減少し、少ない状態となっています。
GNSS連続観測では、2022年9月頃から広域の基線で縮みの傾向が認められており、深部のマグマだまりへの蓄積は進行していないものと考えられます。
阿蘇山では、一時的に火山活動に高まりが認められましたが、3月以降、火山活動は低下した状態で推移しています。
中岳第一火口では活発な噴気活動が認められることから、火口内では土砂や火山灰が噴出する可能性があります。
【参考】噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)発表中

霧島山(新燃岳)
新燃岳では、火山性地震は少ない状態で経過し、噴気活動や地熱域の状況には特段の変化はみられていません。
GNSS連続観測では、2022年11月以降、霧島山の深い場所でのマグマの蓄積を示すと考えられる基線の伸びがみられていましたが、2023年4月頃から停滞しています。
現時点では噴火の兆候は認められませんが、今後の活動の推移に留意が必要です。
【参考】噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)発表中




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